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ご挨拶

東日本大震災以降、科学技術に対する人々の「信頼」が大きく揺らいでいます。

しかしまた、政策を設計するにあたって、最新の科学技術から得られる情報は必要不可欠です。たとえば、政策として、太陽光発電などの再生可能エネルギーを増やすとしても、日本国内でどの程度発電できるのか、どのようなリスクがあるのか、今後技術はどのように進化するのか、などの情報がなければ、まともな政策を設計することはできないでしょう。

政策形成の現場では、科学技術に関連する専門性の高い情報が、さまざまな形で提供されるため、しばしば混乱が生じます。異なる意見を持った人々や利害関係を持った組織が、自分の主張を補強してくれる科学的情報を(たとえ意図的でなくても)取捨選択し、自分の主張の「科学的根拠」として世に示すことが往々にしてあります。

多様なステークホルダー(関係者)の合意にもとづく政策は、より大きな価値を社会にもたらし、政治的混乱による機会損失も予防できるでしょう。しかし、対立するステークホルダーが、自らの主張を補強するために、おたがいに矛盾する科学的情報を合意形成の場に持ち込んだとしたら、科学的情報に基づく政策の検討はより一層、困難なものとなるでしょう。人間や組織として意見や利害が対立するだけでなく、科学的情報も「対立」してしまうのです。

実際、米国の環境政策の現場では、科学に深く係る論争(science-intensive disputes)の存在が1980年代から指摘されてきました。対策として、共同事実確認(Joint Fact-Finding)という取り組みが、問題解決のため、米国各地で実践されてきました。

iJFFプロジェクトは、ほぼ全てのステークホルダーが納得できる科学的情報を、ステークホルダーと専門家の協働で特定する共同事実確認について、手法から制度まで幅広く検討し、共同事実確認が必要とされる現場に、適切なスキルとリソースを提供できるシステムの形成を目指します。

また、この活動を通じて、多様なステークホルダーと専門家の相互作用を活性化させることで、社会に開かれたよりレジリエントな科学技術イノベーション・システムの実現に向けた一助となることも期待しています。

今後、iJFFプロジェクトのウェブサイトおよびブログを通じて、情報発信を進めてまいります。引き続きご注目いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

2012年6月1日

「共同事実確認手法を活用した政策形成過程の検討と実装」
 研究開発プロジェクト 研究代表者
 東京大学公共政策大学院 特任准教授
 松浦正浩

プロジェクトの目的

政策形成の現場では、利害が対立するステークホルダーが自分の利害に合わせて異なる科学的情報を提示するために、利害調整による合意形成が複雑化しています。本プロジェクトは、ほぼ全てのステークホルダーが納得できる科学的情報をステークホルダーと専門家の協働で特定する「共同事実確認」の方法論を検討します。具体的には、エネルギー政策、食品安全、海洋空間計画を対象とする実証実験を行い、社会実装に向けた活動を行うことで、科学的情報に基づく政策形成の実現を目指します。

Configuration iJFF plan

本プロジェクトは、科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)における「科学技術イノベーション政策のための科学」研究開発プログラムの「共同事実確認手法を活用した政策形成過程の検討と実装」研究開発プロジェクト(平成23年度~)として実施しています。

実施期間

平成23年11月~平成26年10月

研究代表者

東京大学公共政策大学院 特任准教授 松浦正浩